7月4日「ファッションお直しの日」に、fituからの公式声明|リペアの価値を安さだけで測らない社会へ

7月4日「ファッションお直しの日」に、fituからの公式声明|リペアの価値を安さだけで測らない社会へ

FITU OFFICIAL STATEMENT

リペアの価値を、
安さだけで測らない社会へ。

2026年7月4日「ファッションお直しの日」に、 オンライン衣服お直しサービスfituから、 リペアの価格、技術、社会的価値についてお伝えします。

2026年7月4日 オンライン衣服お直しサービス fitu 運営会社:合同会社YOBOSHI

私たちfituは、日々、さまざまなブランド、素材、構造の衣服をお預かりし、 一着ずつお直しに向き合っています。


その中で、社会に伝えなければならないと感じていることがあります。

リリペアは、新しい服を買うより
安くて当然ではありません。

この声明は、リペア料金の高さを正当化するためのものではありません。 新しい服を買うことを否定するものでも、すべての服を必ず直すべきだと 主張するものでもありません。

私たちが伝えたいのは、新しく服を作ることと、 完成している一着を直すことは、そもそも異なる仕組みで 成り立っているという事実です。

そして、リペアの価値を、単純な価格の安さだけで 判断してほしくないということです。


大量生産と、一点ずつ行うリペアは異なる

```

大量生産される衣服は、同じ型紙、同じ素材、同じ縫製仕様の商品を、 一定数量まとめて作ることに最適化されています。

裁断、縫製、仕上げ、検品などの工程を分業し、同じSKUを繰り返し生産することで、 一着当たりの作業時間やコストを抑えることができます。

大量生産

  • 同じ型紙と仕様を繰り返し生産する
  • 複数枚の生地をまとめて裁断する
  • 作業工程を分業し、効率を高める
  • ロスを生産数量全体の中で管理する

衣服のリペア

  • ブランド、素材、構造が一点ずつ異なる
  • 完成した服を解体して加工する
  • 服ごとに異なる方法を判断する
  • 代わりのない一着へ個別に対応する

一方、リペアで向き合う服は、一点ずつ異なります。

メーカー、ブランド、製造時期、素材、型紙、縫製仕様、裏地、副資材、 加工、着用状態のすべてが異なります。

同じ「パンツの裾上げ」であっても、スラックス、ジーンズ、 ワイドパンツ、ナイロンパンツ、ジョガーパンツでは、 構造も適切な直し方も変わります。

裾にファスナーやドローコード、裏地、リブ、ダブル仕上げ、 特殊なステッチ、ダメージ加工が施されている場合もあります。

外側から見ただけでは、どのような順番で縫製されているのか 分からない服も少なくありません。

実際に服を確認し、縫い代や裏側の構造を見た後でなければ、 加工方法や対応の可否を判断できないこともあります。

服のパターンが多様であるように、
直し方にも一つの決まった正解はありません。

リペアは、決められた作業を繰り返す仕事ではありません。

完成している一着の構造を読み解き、その服に合った方法を考え、 再び着られる状態へ整える仕事です。

```

リペアには、失敗できない緊張がある


リペアでお預かりする服は、お客様にとっての一着です。 同じ商品を、もう一度すぐに用意できるとは限りません。

  • すでに販売が終了している服
  • 長年着用し、身体になじんだ服
  • 家族から受け継いだ服
  • 思い出が残っている服
  • ヴィンテージ品や一点物

購入価格だけでは置き換えられない服もあります。

生地を一度裁断すれば、元の長さには戻せません。 数ミリ、数センチの判断が、完成後のシルエットや着心地を左右します。

大量生産のように、複数枚の中でロスを吸収することもできません。

そのため、リペアの職人には、ミシンを扱う技術だけでなく、 服の構造を理解する知識、生地の変化を予測する経験、 適切な加工方法を選ぶ判断力、そして失敗できない一着に向き合う 高い集中力が求められます。

01

確認と採寸

服の状態、構造、指定寸法、仕上がりへの影響を確認します。

02

構造の判断

表地、裏地、縫い代、副資材の状態から加工方法を決めます。

03

解体と再縫製

完成済みの服を部分的に解体し、裁断、縫製、仕上げを行います。

04

仕上げと検品

寸法、縫製、シルエット、着用時のバランスを確認します。

リペア料金に含まれているのは、ミシンを動かしている時間だけではありません。

服の確認、採寸、構造の判断、縫製部分の解体、裁断、再縫製、 プレス、仕上げ、検品まで、一着ごとに必要となる工程と責任が含まれています。


「直す方が安い」と思うことは、消費者の責任ではない


現在は、数千円で購入できる衣服も数多く流通しています。

そのような環境の中で、「一部分を直すのであれば、 完成した服より安いはず」と感じることは自然です。

私たちは、その感覚を否定したいわけではありません。

大量生産によって完成品の価格が下がり、リペアの工程や職人技術が 消費者から見えにくい状態が続いてきました。

リペア業界も、加工の難しさや必要な工程、 職人に求められる技術を十分に伝えてこなかったのかもしれません。

だからこそ、消費者へ理解を求める前に、まず私たち自身が、 リペアの構造と価値を社会に伝える必要があると考えています。

リペアは、新品より安くて当然ではない

fituは、リペアが新しい服より高くあるべきだと 主張しているわけではありません。

服の状態、今後の着用頻度、加工料金、代わりとなる商品の有無によっては、 新しい服へ買い替える方が合理的な場合もあります。

一方で、同じ商品を一定数量作ることに最適化された新品の価格と、 構造も状態も異なる服を一点ずつ確認し、失敗できない状態で加工する リペアの価格を、単純に比較することはできません。

新しい服を買うことと、今ある服を直すこと。
この二つが同じ程度の価格でも、不自然ではありません。

重要なのは、どちらが安いかだけではなく、 その選択によって何が残るかです。


消費者にとっての価値


新しい服を購入しても、自分の身体や好みに完全に合うとは限りません。

デザインや素材は気に入っているものの、袖が長い、着丈が合わない、 ウエストが大きい、シルエットが太いといった理由で、着なくなる服があります。

リペアでは、その服の気に入っている部分を残しながら、 合わない部分だけを調整できます。

別の服に置き換えるのではなく、今ある服を、 自分の身体や現在の着方に合わせることができます。

現在は販売されていない服や、長年の着用によって風合いが変化した服、 思い出が残っている服は、新しい商品を購入しても同じ状態を再現できません。

リペアは、衣服の機能だけでなく、
その服を選んだ理由や、着てきた時間も残す選択です。

環境にとっての価値


新しい服が完成するまでには、原材料の調達、紡績、生地の製造、 染色、裁断、縫製、仕上げ、輸送など、複数の工程が必要です。

環境省は、日本で消費される衣服の年間環境負荷を 一着当たりに換算すると、CO2排出量は約25.5kg、 水消費量は約2,300リットルになると推計しています。

約25.5kg 衣服一着当たりに換算したCO2排出量
約2,300L 衣服一着当たりに換算した水消費量
これらは、日本で消費される衣服の年間環境負荷を一着当たりに換算した 推計値です。すべての衣服に共通する固定値ではなく、素材や製造方法によって 実際の環境負荷は異なります。

それでも、新しい一着を作るために、目には見えない多くの資源と エネルギーが投入されていることを示しています。

すでに完成している服にも、生地や糸だけではなく、水、エネルギー、 染色や縫製の技術、輸送、人の労働が投入されています。

  • ファスナーが壊れた
  • 裾が擦れた
  • 丈やサイズが合わない

そのような一部分の問題だけで服全体を手放すことは、 それまで服に投入された資源を十分に使い切らないことにもつながります。

環境省は、生活者が現在よりも服を1年長く着用することで、 日本全体として約5万トンの衣類廃棄量削減につながるとしています。

もちろん、リペアにも環境負荷はあります。

糸やファスナーなどの副資材、ミシンやプレス機の電力、 工場までの配送、返送時の梱包などには、一定の資源とエネルギーが必要です。

一着を直せば、必ず新品一着分の環境負荷を削減できるわけではありません。

リペアの環境価値が生まれるのは、直した服が実際に着用され、 新しい服への買い替えを遅らせたり、購入する服の数を減らしたりできたときです。

重要なのは、直したという事実だけではありません。
直した服を、生活の中で再び着続けることです。


リペアの技術を担う人が減っている


リペアの価値を考えるうえで、もう一つ伝えたい現実があります。

服を作り、服を直す技術を持つ人が減少し、高齢化していることです。

経済産業省の資料によると、繊維工業に従事する就業者数は、 2007年の約67万人から、2023年には約35万人まで減少しています。

約67万人 2007年の繊維工業就業者数
約35万人 2023年の繊維工業就業者数

2023年には、繊維工業で働く人のうち、65歳以上が占める割合は 22.9%となっています。製造業全体の8.3%と比べても、高い割合です。

これらは洋服のお直し職人だけを対象にした統計ではなく、 繊維工業全体のデータです。本声明では、リペアの土台となる 縫製・繊維技術全体の担い手を取り巻く状況を示す資料として参照しています。

リペアの土台となっているのも、服の構造を理解し、 工業用ミシンを扱い、素材や仕様に応じて加工方法を変えられる縫製技術です。

その技術を担う人が減り、高齢化していることは、 将来、服を直せる環境を維持できるかという問題と無関係ではありません。

厚生労働省が紹介する洋服リフォーム事業者の事例でも、 縫製技術を持つ人材の不足、高齢化による退職、 後継者が育ちにくい状況が課題として挙げられています。

縫製は、短期間で身に付けられる単純作業ではありません。

さまざまな素材や構造に対応するためには、 長い時間をかけて技術と経験を積む必要があります。


工場や地域のお直し店がなくなると、技術も失われる


服づくりやリペアの技術は、一人の職人だけで 成り立っているわけではありません。

裁断、パターン、縫製、染色、仕上げ、プレス、特殊ミシンなど、 それぞれの工程を担う工場や事業者によって支えられています。

一つの工場や地域のお直し店が事業を終えることは、 単に一つの会社や店舗がなくなることだけを意味しません。

その地域で対応できていた一つの工程、一人の職人が蓄積してきた技術、 長年の経験に基づく判断も失われる可能性があります。

全国のお直し店だけを対象として、閉店数や廃業数を継続的に集計した 公的統計は、私たちが確認した範囲では見つかっていません。

そのため、すべての地域で一律に店舗が減っていると 断定することはできません。

一方で、繊維工業全体で就業者の減少と高齢化が進み、 実際の洋服リフォーム事業者からも、職人の退職、 後継者不足、人材育成の難しさが報告されています。

服を直せる人と、服を直せる場所は、
これからも当然に残り続けるものではありません。
  • 服を直したいときに、相談できる人がいる
  • 構造を見て、加工方法を判断できる人がいる
  • 特殊なミシンを扱える人がいる
  • 元のデザインを残しながら仕上げられる人がいる

そのような環境を将来へ残すためには、 技術を持つ人が仕事を続けられる状態をつくる必要があります。


適正な対価は、技術を未来に残すための対価でもある


リペア料金は、今ある一着を直すためだけの費用ではありません。

  • 服の構造を見極める知識
  • 素材に合わせて縫製する技術
  • 多種多様な服に対応してきた経験
  • 失敗できない一点物に向き合う集中力

それらに対して支払われる対価です。

同時に、その仕事を職業として継続できる環境をつくり、 次の世代へ技術を引き継ぐための対価でもあります。

価格の安さだけが求められ続ければ、 職人が仕事として技術を維持することは難しくなります。

仕事として成立しなければ、若い世代が新たに技術を学び、 長い時間をかけて経験を積むことも難しくなります。

利用する人が減れば、地域のお直し店や縫製工場は仕事を続けられません。

仕事が失われれば、そこで受け継がれてきた技術も失われます。

一度失われた技術を、必要になったときに すぐ取り戻すことはできません。

服を直すことは、一着の着用期間を延ばすだけではありません。
服を直せる人と場所を、社会に残す選択でもあります。


新しい服を買うことも、直すことも選べる社会へ


fituは、新しい服を買うことを否定しません。

新しいデザインや素材に出会うことは、 ファッションの大切な楽しみです。

私たちが目指しているのは、新しい服を買うという 選択肢しかない社会ではありません。

買い替える前に、今ある服を直すという選択肢を考えられる社会です。

仮に、新しい服を買う価格と、今ある服を直す価格が同じだったとしても、 リペアの価値が低いことにはなりません。

消費者にとって

気に入っている一着を、自分に合わせて着続けられる。

環境にとって

服へ投入された資源を、より長く活用できる可能性がある。

社会にとって

服を作り、直す職人の仕事と技術を残すことにつながる。

服との関係にとって

その服に刻まれた時間や記憶を残すことができる。

価格だけではなく、その選択によって何が残るのか。

fituは、その視点からリペアの価値を伝えていきます。


一人の認識と行動を変えるために


私たちは、この声明を広く社会へ届けるため、 PR TIMESへの配信費として税別30,000円、税込33,000円を使います。

33,000円があれば、広告を出すことも、 割引キャンペーンの原資にすることもできます。

それでも今回は、商品を売ることではなく、 リペアに対する考え方を伝えるために使うことを選びました。

  • クローゼットにある服を思い出す
  • 直せばもう一度着られるかもしれないと考える
  • 買い替える前に、直す方法を調べる
  • リペア料金の背景にある工程や技術を考える

そのような変化が一人でも多く生まれるのであれば、 この発信には意味があると考えています。


2026年7月4日、fituからの呼びかけ


クローゼットの中にある、
「直せばもう一度着たい服」を一着だけ思い出してみてください。

すぐに修理へ出す必要はありません。

まずは、その服を手放す以外の方法がないかを考える。
直せる可能性がないかを調べる。

そこから、服との関係は少しずつ変わり始めます。

安いから直すのではなく、
価値があるから直す。

買い替え前に、直す。
2026年7月4日
オンライン衣服お直しサービス fitu
合同会社YOBOSHI

fitu Repair Reality.

参考資料・出典


※掲載した数値は、各資料が定める対象範囲、条件および調査方法に基づいています。

※衣服の素材、製造方法、使用状況、修理内容、配送方法、 新品購入の代替状況などにより、実際の環境負荷や リペアによる効果は異なります。

※繊維工業の就業者数と年齢構成は、洋服のお直し職人のみを 対象にした統計ではありません。リペアの土台となる 縫製・繊維技術全体の担い手を取り巻く状況を示す資料として参照しています。


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